株式会社の役員変更登記
役員変更登記は、株式会社の役員が任期満了、増員、死亡したときなどに、登記された事項の変更を法務局に申請する手続です。
役員変更登記の期間
役員変更登記は、変更が生じた日から2週間以内にしなければならないと会社法に規定されています。変更が生じた日とは、役員が就任した日、退任した日等です。
2週間以内に役員変更登記をしなかった場合、会社法の規定により過料が科せられる恐れがあります。2週間を1日でも徒過してしまうと必ず過料が科せられるわけではありませんが、できるだけ期限を守るように心がけ、早めに申請することが望ましいといえます。
役員変更登記と任期
役員変更登記をする一番多い原因(登記するきっかけ)は、役員の任期満了です。株式会社の役員にはそれぞれ任期があり、会社法の規定では次のとおりとなります。
取締役 | 監査役 | 会計参与 | 会計監査人 | |
任期 | 2年 | 4年 | 2年 | 1年 |
ただし、非公開会社(譲渡制限会社)については、定款を変更することにより、各役員の任期を最長で次のとおり伸長することが可能です※。
取締役 | 監査役 | 会計参与 | 会計監査人 | |
任期 | 10年 | 10年 | 10年 | 変更不可 |
代表取締役の任期については、取締役の任期に連動します。代表取締役は、取締役の任期が満了して退任すると、代表取締役としての資格を喪失し退任することとなります。
※監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社を除きます。
役員変更登記の登記記録例
役員変更登記を申請した後の登記簿の見本です。
役員に関する事項 | 取締役 甲 野 太 郎 | 平成30年6月30日就任 |
平成30年7月7日登記 | ||
令和2年6月29日退任 | ||
令和2年10月3日登記 |
下線は抹消されたことを意味しています。見本では取締役の甲野太郎さんは令和2年6月29日に退任していますが、登記したのがそれから3か月以上経過した10月3日であることがわかります。このように役員変更登記を怠ると登記記録に残るので注意が必要です。
役員変更登記の必要書類
株式会社の役員変更は、取締役会の設置の有無によって手続が異なります。そのため必要書類も取締役会設置会社かどうかで異なります。具体的な必要書類は次のとおりです。
取締役会設置会社の場合
- 株主総会議事録(取締役等の選任決議をしたもの)
- 取締役会議事録(代表取締役の選定決議をしたもの)
- 就任承諾書
- 本人確認証明書
- 代表取締役の印鑑証明書
取締役会設置会社ではない場合
- 株主総会議事録(取締役等の選任決議をしたもの)
- 就任承諾書
- 本人確認証明書
- 取締役の印鑑証明書
退任する役員がいる場合
退任する役員がいる場合の役員変更登記には、退任の理由によって次のような書類が必要となります。
- 辞任届
- 死亡届
- 解任決議をした株主総会議事録
添付書類は、就任や退任などの状況により異なります。
マークのある書類は当事務所で作成を承ります。
役員変更登記の本人確認証明書について
役員変更登記をする際に、新任の役員がいる場合は、新任の役員について「本人確認証明書」の添付が必要となります。これは就任する役員の実在性や就任意思を確認するために必要とされています。なお、就任に際し印鑑証明書を添付する必要がある取締役は、別途本人確認証明書を添付する必要はありません。本人確認証明書の例は次のとおりです。
- 住民票
- 戸籍の附票
- 住民基本台帳カード
- 在留カード
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
登録免許税
株式会社の役員変更登記は、ひとつの申請書で登記する場合は、役員の人数や種類にかかわらず、次のとおりとなります。(登録免許税法別表第一第二十四号(一)カ)
資本金の額が1億円以下の株式会社
登録免許税 = 10,000円(定額)
資本金の額が1億円を超える株式会社
登録免許税 = 30,000円(定額)
報酬及び費用
株式会社の役員変更登記に要するおもな費用や報酬は次のとおりです。
手続名等 | 報酬 | 登録免許税等 | 備考 |
---|---|---|---|
役員変更登記申請 | 22,000円~ (消費税込) |
10,000円 | ※ |
議事録作成 | 5,500円~ (消費税込) |
登記とあわせてご依頼いただく場合の価額です。 |
※ 登録免許税10,000円は資本金の額が1億円以下の株式会社の場合。