減資(資本金の額の減少)の登記
株式会社は資本金の額を減少することができます(会社法第447条)。これを一般的に減資と呼びます。現行の会社法では最低資本金が撤廃され、会社の規模や減資する額の大小にかかわらず、どのような会社でも手続きを経ることによって減資をすることが可能となりました。
減資とは
減資とは、資本金の額を減少して、原則としてその他資本剰余金に組み入れることをいいます。なお、資本準備金に振替えることも可能です。
減資をするのはどんなとき
欠損の填補
欠損とは剰余金のマイナスのことであり、欠損填補とは、資本金や資本準備金で剰余金のマイナスを穴埋めする損失処理のことです。なお、減少する資本金を全額欠損の填補にあてる場合には株主総会での決議要件が緩和される場合があります。
外形標準課税制度への対応
外形標準課税とは、会社の資本金等の外観から客観的に判断される事業税です。資本金が1億円を超える株式会社は、この外形標準課税の対象となります。減資により1億円以下にしてこれに対処する場合があります。
中小会社への移行
資本金が5億円以上の株式会社は大会社となり、会計監査人の設置義務が生じたりと、会社の機関設計に制約を受けます。減資により中小会社に移行すると、機関設計を小さくすることが可能になります。
減資をするときに決めること
減資をするときには、株主総会の特別決議で次の事項を決めなければなりません。
- 減資する額
- 減資する額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及びその額
- 減資の効力発生日
なお、定時株主総会で減資を決議する場合において、減少する額が欠損の額を超えない場合は、通常の決議で足りるという例外がございます。
債権者保護手続き
減資をするときには必ず債権者保護手続き(債権者異議手続き)をしなければなりません。減資の債権者保護手続きは、官報への公告と、債権者への個別の催告を行います。なお、電子公告や日刊紙など、官報以外の公告方法を定めている株式会社の場合は、官報への公告のほかに電子公告や日刊紙への公告をすることによって、債権者への個別催告を省略することができます。
この債権者異議手続きでは、債権者が異議を述べることができる期間を1か月以上設けなければならないとされており、減資の手続きは必ず1か月以上の期間を要することになりますので注意が必要です。
減資の登記の必要書類
減資の登記を申請する際の、一般的な必要書類です。官報公告を行い、かつ知れたる債権者へ個別催告をした場合の例です。
- 株主総会議事録
- 減資公告が掲載された官報※
- 債権者への催告書
- 催告先一覧(債権者一覧)
マークのある書類は当事務所で作成を承ります。
※優星リーガル司法書士事務所に公告手続きを依頼された場合は不要です。
減資手続きの流れ
減資の手続きはおよそ次のスケジュールに沿って行なわれます。おおむね減資の効力発生日の2か月前に手続きに取りかかる必要があります。ただし、株主総会の招集手続きが省略または短縮できない株式会社の場合には、さらに早めに取りかかる必要があります。
1.株主総会での決議
株主総会にて、減資する額や効力発生日を定めて承認を受けます。官報掲載の都合から早めに決議することが望ましいといえます。(めやす:効力発生日の1ヶ月半前)
2.債権者保護手続き
官報の公告は、掲載の依頼から掲載されるまでに2週間程度要するため、遅くとも減資の効力発生日の1ヶ月半前までに依頼をする必要があります。また、知れている債権者には各別に催告をします。(めやす:効力発生日の約1ヶ月半前)
3.効力発生日の到来
債権者保護手続きの期間中に異議を述べた債権者がいなかった場合は、株主総会で定めた効力発生日に減資の効力が生じます。
4.登記申請をいたします
効力発生日以降に、法務局に登記の申請をします。申請日までにご請求書をお渡ししますので、費用のお支払いをお願いいたします。
5.完了後の書類をお渡しいたします
登記申請後約1週間~10日で登記が完了いたします。完了後ご連絡をいたしますので、書類の受領をお願いいたします。郵送での返却も可能です。
登録免許税
減資の登録免許税は、減少する額にかかわらず3万円の定額となります。(登録免許税法別表第一第二十四号(一)ツ)
登録免許税 = 30,000円(定額)
報酬及び費用
減資手続きに要するおもな費用や報酬は次のとおりです。
手続名等 | 報酬 | 登録免許税等 | 備考 |
---|---|---|---|
資本金の額の減少(減資)登記申請 | 66,000円~ (消費税込) |
30,000円 | ※1 |
債権者保護手続 | 33,000円~ (消費税込) |
約53,000円(減資公告のみ) 148,662円(決算公告と同時) |
※2 |
※1 登記申請に必要な株主総会議事録の作成費用を含みます。
※2 標準的な文言を使用した場合の目安です。1行22字で3,263円(本体価格)×行数で計算されます。決算公告と減資公告をあわせて行う場合は行数に関係なく4枠148,682円(税込)です。
まずはご相談ください
減資の手続きはスケジュール管理が重要です。東京23区内、多摩地域、横浜市内などスピード対応いたします。ご相談いただいたお客様には、お見積書と減資スケジュール表を無料で作成いたします。電話またはメールにてお気軽にご相談ください。