賃借権設定登記
不動産の賃借権は、不動産の全部または一部の使用及び収益をする権利です。賃貸人は賃借人に対して不動産を使用及び収益をさせる義務を負い、賃借人は賃貸人に対して賃料を支払う義務を負います。賃借権は、他の登記可能な権利と異なり、賃貸人が賃借権設定登記をすることを承諾しなければこれを登記することができません。ただし、土地の賃借権は、賃借権者がその土地の上に登記されている建物を有するときは、賃借権の登記がない場合でも第三者に対抗できます。また、建物の賃借権についても引渡しを受けることによって、賃借権の登記がなくても第三者に対抗することができます。
賃借権設定登記の登記記録例
賃借権設定の登記がされた土地の登記簿の見本です。
権利部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項) | |||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
---|---|---|---|
1 | 賃借権設定 | 平成27年12月3日 第23456号 |
原因 平成27年12月3日設定 目的 建物所有 賃料 1月12万円 支払時期 毎月末日 存続期間 30年 特約 譲渡、転貸ができる 賃借権者 東京都日野市神明三丁目○番地の○ 甲 野 太 郎 |
借地借家法と賃借権
建物所有を目的とする土地の賃借権と、建物の賃借権は借地借家法の適用を受けることとなります。借地借家法には強行規定が多数あり、この規定に反して締結された賃貸借契約は登記することができません。あらたに賃貸借契約を締結してこれを登記する場合は、司法書士が適切なアドバスをさせていただきますのでご相談ください。
賃借権設定登記に必要なもの
賃借権設定登記に必要な書類は次のとおりです。
賃貸人(貸す人)が準備するものは次のとおりです。
- 賃貸借契約書
- 印鑑証明書
- 不動産の登記済証(権利証)または登記識別情報
- 固定資産評価証明書
- 実印
- 本人確認書類
賃借人(借りる人)が準備するものは次のとおりです。
- 認印
- 本人確認書類
マークのある書類は当事務所で作成を承ります。
登録免許税
賃借権設定登記の登録免許税は、固定資産税評価額をもとに算出いたします。
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 1000分の10
例)評価額1,000万円の土地に賃借権を設定した場合の登録免許税は、10万円となります。
固定資産税評価額は登記申請する年度の価格が基準となります。上記登録免許税に基づき司法書士の報酬が加算されます。
報酬及び費用
賃借権設定登記に要するおもな費用や報酬は次のとおりです。
手続名等 | 報酬 | 登録免許税等 | 備考 |
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賃借権設定登記申請 | 88,000円~ (消費税込) |
不動産価格の1000分の10 | ※ |
賃貸借契約書作成 | 11,000円~ (消費税込) |
登記とあわせてご依頼いただく場合の価額です。 |
※評価額が1,000万円を超える場合、1,000万円ごとに報酬に3,300円(消費税込)を加算いたします。設定する不動産が2個以上の場合、1個につき2,200円(消費税込)を加算いたします。