不動産の相続登記

相続登記とは

土地や建物などの不動産の所有者が亡くなると、所有権はその相続人が承継します。相続登記とは、亡くなった所有者からその相続人への所有権移転登記のことをいいます。事例では、立川夏男さんから妻の春子さんへ不動産の相続登記をすることになります。

相続登記と期限

依頼者は相続登記に期限があるのではないかと心配されておりますが、不動産の相続登記には期限はありません。ただし、相続登記を長期間しないままでおくと、相続人がさらに亡くなってしまって相続関係が複雑になることがあります。遺産相続について相続人間で話がまとまったあとは速やかに相続登記を済ませるのが望ましいといえます。

相続登記と遺産分割

事例では依頼者は母の春子さんの単独の名義にしたいと考えておられます。しかし、他の相続人も当然不動産を相続する権利があることから、相続人が複数いる場合に、不動産の名義をその中の1人の単独名義に変更したい場合には、遺産分割協議書を作成しなければならないことになっています。

事例では依頼を受けた司法書士が、自宅の土地と建物について妻の春子さんがすべて相続するという内容の遺産分割協議書を作成いたしますので、春子さん、冬美さん、秋夫さんがそれぞれ実印を押し、登記申請書に添付することとなります。

相続登記の必要書類

事例のような相続登記をするための必要書類は次のようになります。

遺産分割協議書

不動産を春子さんが取得するとした内容の遺産分割協議書です。司法書士が作成いたします。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本

亡くなった夏男さんの死亡の記載のある戸籍、コンピューター化する前の縦書きの戸籍、結婚する前の親の戸籍に入っていたときの戸籍など、出生から死亡までの一連の戸籍が必要です。本籍地の役所で請求します。司法書士が取得をすることもできます。

被相続人の住民票の除票

亡くなった夏男さんの最後の住所地の役所で住民票の除票を請求します。司法書士が取得をすることもできます。

相続人全員の戸籍謄本

相続人である冬美さんと秋夫さんの現在の戸籍謄本または抄本を本籍地の役所で取得します。春子さんについては夏男さんと同一の戸籍に入っているため重複して取得する必要はありません。このときの戸籍には期限はありません。司法書士が取得をすることもできます。

相続人全員の住民票

春子さん、冬美さん、秋夫さんの住民票を住所地の役所で取得します。司法書士が取得をすることもできます。

相続人全員の印鑑証明書

春子さん、冬美さん、秋夫さんの印鑑証明書を住所地の役所で取得します。この印鑑証明書には期限はありません。

固定資産税評価証明書

相続登記をする不動産の固定資産評価証明書を、不動産の所在地の役所で取得します。司法書士が取得をすることもできます（委任状要）。

相続人全員の実印

相続人全員の実印を遺産分割協議書に押印します。

本人確認書類

依頼者の本人確認のため運転免許証などのご提示をお願いします。

登録免許税

相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額をもとに算出いたします。

登録免許税 ＝ 固定資産税評価額 × 1000分の4

事例の評価額1,000万円の土地と建物を相続した場合の登録免許税は、4万円となります。

固定資産税評価額は、登記申請する年度の価格をもとに算出します。亡くなった年度ではありませんのでご注意ください。上記登録免許税に基づき司法書士の報酬が加算されます。

• 固定資産税評価証明書はどうやってとればいいですか（よくある質問）

報酬及び費用

相続登記に要するおもな費用や報酬は次のとおりです。

費用一覧

手続名等	報酬	登録免許税等	備考
所有権移転登記申請 （相続登記）	49,500円～ （消費税込）	不動産価格の1000分の4	※
遺産分割協議書作成	7,700円～ （消費税込）	登記とあわせてご依頼いただく場合の価額です。

※移転する価格が1,000万円を超える場合、1,000万円ごとに5,500円（消費税込）を加算いたします。また申請する不動産が2個以上の場合、1個につき2,200円（消費税込）を加算いたします。

ご請求例

事例において優星リーガル司法書士事務所から立川秋夫さんへのご請求は次のようになります。司法書士が遺産分割協議書を作成し、その他の書類は依頼者の方がご自身で取得した場合です。

手続名	報酬（円）	登録免許税等（円）
所有権移転（相続登記）	56,100	40,000
遺産分割協議書作成	7,700
登記簿閲覧		664
登記事項証明書取得		960
合　計	105,424円

関連事項

• 法定相続情報証明
• 不動産登記