不動産の持分の更正登記
依頼内容
昨年妻と新築の建売住宅を購入しました。費用4,000万円のうち私、立川一郎が3,600万円(ローン3,200万円)、妻和子が400万円を出しました。登記は私と妻それぞれ2分の1の共有名義としました。ところが先日、住宅ローン控除を受けようと思い手続きをしていたところ、借入額と持分が異なるため控除が受けられないことがわかりました。不動産の共有持分を修正することはできますか。
(仮名です、実際の依頼と一部内容を変えてあります。)
持分を正しく登記しないとどうなるか
土地や建物を共有で購入したときの名義は、お金を出した割合に応じた持分で登記するのが原則です。事例ではローンを含めた資金の割合はご主人の一郎さんが10分の9、奥様の和子さんが10分の1となります。これに対して登記は奥様の持分が実際に支払った額に比べてかなり大きくなっており、登記された持分(2分の1)と実際に支払った額(10分の1)の差額(10分の4)について、ご主人から奥様に贈与があったものとして贈与税が課されてしまったり、今回のように住宅ローン控除を受ける際に控除される額が減額されてしまうことがあります。
所有権の持分の更正登記とは
このままでは、登記が事実と異なることとなるため、登記に錯誤があったとして所有権の持分の更正登記を申請し、正しい持分に修正しなければなりません。持分の更正登記は持分を更正する必要がある共有者のうち、持分が増える共有者を登記権利者、持分が減少する共有者を登記義務者として共同で申請する登記です。
持分更正の登記記録例
所有権の持分が更正がされた不動産の登記簿の見本です。事例の立川一郎さんと和子さんの持分が錯誤を原因にして10分の9と10分の1に更正されています。最初の持分には下線が引かれています。この下線は登記事項が抹消されたことを意味しています。
権利部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
---|---|---|---|
2 | 所有権移転 | 平成28年10月4日 第45678号 |
原因 平成28年10月4日売買 共有者 東京都武蔵村山市榎二丁目○番地の○ 持分2分の1 立 川 一 郎 東京都武蔵村山市榎二丁目○番地の○ 2分の1 立 川 和 子 |
付記1号 | 2番所有権更正 | 平成29年3月6日 第8765号 |
原因 錯誤 立川一郎持分 10分の9 立川和子持分 10分の1 |
持分更正登記の可否
所有権の持分更正登記は、一定の条件の下、現在登記されている所有者の持分のみを更正する場合に認められます。現在登記されていない人を所有者とする更正登記は前所有者の協力が必要となります。また、全く違う所有者に変更する更正登記は認められておりません。
更正前 | 更正後 | 可否 | 備考 |
A(1/2)B(1/2) | A(2/3)B(1/3) | できる | 割合のみ更正 |
A(1/2)B(1/2) | A(1/3)B(1/3)C(1/3) | できる | ※ |
A(1/2)B(1/2) | A(1/1) | できる | 共有から単独 |
A(1/2)B(1/2) | C(1/2)D(1/2) | できない | 第三者に更正 |
A(1/1) | A(1/2)B(1/2) | できる | 単独から共有※ |
※AやBが所有権移転登記を受ける前の所有者と共同で更正登記を申請する必要があります。
持分更正登記の注意点
所有権の持分更正登記を申請する際には以下の点に注意をしなければなりません。
抵当権がついている場合に抵当権者の承諾が必要な場合があります
抵当権がついている不動産の所有権の持分を更正する際には、抵当権者(金融機関)の承諾が必要となる場合があります。承諾が必要かどうかは個別の事情により異なりますので、当事務所または金融機関に事前にご相談ください。
前所有者の協力が必要な場合があります
上記の更正登記の可否の一覧にあるように、現在登記された所有者以外の所有者に更正登記する場合には、前所有者と共同で登記申請をしなければなりません。登記から長期間が経過していたりして、協力が得られない場合には別の方法によって所有権の持分を修正しなければなりません。
持分更正登記の必要書類
持分更正の登記を申請する場合の必要書類は次のとおりです。
更正により持分が増加する立川一郎さんが準備するもの
- 認印
- 本人確認資料
更正により持分が減少する立川和子さんが準備するもの
- 登記識別情報
- 印鑑証明書※1
- 実印
- 本人確認資料
※1 発行日から3ヶ月以内のものが必要です。
登録免許税
不動産の持分更正登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円の定額です。(登録免許税法別表第1第1号(14)
登録免許税 = 1,000円 × 更正する不動産の数
事例における土地と建物の持分を更正した場合の登記の登録免許税は、2,000円となります。
報酬及び費用
所有権の持分更正登記に要するおもな費用や報酬は次のとおりです。
手続名等 | 報酬 | 登録免許税等 | 備考 |
---|---|---|---|
所有権更正 (持分) |
55,000円~ (消費税込) |
不動産1個につき1,000円 | ※ |
※申請する不動産が2個以上の場合、1個につき2,200円(消費税込)を加算いたします。
ご請求例
事例において優星リーガル司法書士事務所から立川一郎さんへのご請求は次のようになります。
手続名 | 報酬(円) | 登録免許税等(円) |
---|---|---|
所有権更正(持分) | 57,200 | 2,000 |
登記簿閲覧 | 664 | |
登記事項証明書取得 | 960 | |
合 計 | 60,824円 |