建物を新築したときの所有権の保存の登記
建物を新築後、いまだ所有権の登記がされていない不動産について、はじめて行う所有権の登記を所有権の保存の登記といいます。所有権の保存を行う場合は、その前提として建物の表題登記が完了している必要があります。
所有権保存登記の登記記録例
所有権保存登記がされた登記簿の見本です。
権利部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
---|---|---|---|
1 | 所有権保存 | 令和5年8月28日 第45678号 |
所有者 東京都東大和市南街一丁目○番地の○ 甲 野 太 郎 |
建物表題登記とは
建物を新築した場合は、1か月以内に建物の表題登記を申請しなければなりません。建物の表題登記とは、建物を法律上特定するために、はじめて建物登記記録の表題部に、その建物の所在や構造、床面積などを登載することをいいます。なお、この建物表題登記を業務としてすることができるのは、司法書士ではなく土地家屋調査士です。当事務所に建物の新築後にご依頼をいただいた場合は、必要に応じて提携の土地家屋調査士をご紹介いたします。
住宅用家屋証明書について
一定の条件を満たす場合に、住宅取得時の登録免許税の軽減を受けることができます。取得した住宅が、その条件を満たしていることを証明するのが住宅用家屋証明書です。住宅用家屋証明書は、不動産が所在する市区町村の窓口で取得することができます。当事務所では、ご依頼いただくことにより住宅用家屋証明書を代理取得することも可能です。
住宅用家屋証明書により軽減を受けることができる条件(所有権保存登記の場合)は次のとおりです。
- 個人が新築または新築後使用されたことがない住宅用家屋の取得であること
- 居住の用に供すること
- 住宅専用面積50平方メートル以上のもの
- 新築または取得後1年以内に登記を受けるもの
所有権の保存の登記に必要な書類
所有権の保存の登記に必要な書類の一覧です。建物の種類等によって異なる場合があります。
- 住民票
- 認印
- 本人確認資料
- 住宅用家屋証明書※
※ 当事務所で代理取得することが可能です。
建物新築による所有権保存登記の流れ
1.建物の完成
建物が完了した後、建築業者より建物表題登記に必要な書類の交付を受けます。
2.建物の表題登記
建物の表題登記は、1.建築した業者、2.所有者自身、3.当事務所のいずれかから土地家屋調査士に依頼をして行います。
3.住宅用家屋証明書の取得
住宅用家屋証明書の取得可能な建物の場合は、建物表題登記が完了した後、所有権の保存の登記を申請するまでに取得をします。
4.所有権の保存の登記申請
建物の表題登記が完了した後、当事務所にて所有権の保存の登記を申請します。
5.完了
登記申請後約1週間~10日で登記が完了いたします。完了後ご連絡をいたしますので、書類の受領をお願いいたします。郵送も可能です。
登録免許税
新築後1年以内の建物の保存登記は、各法務局の認定基準価格をもとに計算します。
住宅用家屋証明書による軽減が受けられる場合
登録免許税 = 認定基準価格 × 床面積の合計 × 1000分の1.5
例)東京都内の床面積100平方メートルの新築の木造居宅を保存登記する場合の登録免許税は、15,300円となります。(東京法務局管内の木造の居宅の認定基準価格は、1平方メートルあたり102,000円)
特定認定長期優良住宅に該当する場合には1000分の1となります。
住宅用家屋証明書による軽減が受けられない場合
登録免許税 = 認定基準価格 × 床面積の合計 × 1000分の4
例)東京都内の床面積100平方メートルの新築の鉄骨造の共同住宅を保存登記する場合の登録免許税は、49,600円となります。(東京法務局管内の鉄骨造の共同住宅の認定基準価格は、1平方メートルあたり124,000円)
報酬及び費用
建物の新築による所有権保存登記に要するおもな費用や報酬は次のとおりです。
手続名等 | 報酬 | 登録免許税等 | 備考 |
---|---|---|---|
所有権保存登記申請 | 27,500円~ (消費税込) |
不動産価格の1000分の1.5 | ※1 |
住宅用家屋証明書取得 | 3,300円~ (消費税込) |
1,300円 | ※2 |
※1住宅用家屋証明書の適用が受けられる場合(特定認定長期優良住宅以外)。 ※2 旅費や送料を申し受ける場合がございます。